療養通所介護は、身体的に重度な疾患を持つ高齢者や障がい者が、日中に安心して過ごすためのサービスです。
本記事では、療養通所介護の基本的な概要からサービス内容、対象者、利用料、人員基準に至るまで詳しく解説します。
療養通所介護の基本概要
療養通所介護とは?
療養通所介護は、医療的ケアが必要な方に対して、日中に専門の施設で適切なケアと支援を提供するサービスです。
利用者は、自宅で過ごす時間を確保しながら、必要な医療や介護サービスを受けられます。専門のスタッフが、利用者の状態に合わせて、身体介護、生活支援、リハビリテーション、食事、入浴などのサービスを提供します。
厚生労働省
療養通所介護
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119142.pdf
療養通所介護の目的
療養通所介護の目的は、利用者が可能な限り自宅での日常生活を続けられるよう支援することです。
医療的なケアが必要な方でも、自宅での生活の質を高め、社会参加を促進することを目指しています。また、家族の負担軽減にも大きく貢献します。
法律に基づく療養通所介護の位置付け
療養通所介護は、介護保険法やその他関連法令に基づいて提供される正式なサービスです。
介護保険制度の枠組みの中で、医療的なケアが必要な方に対して、必要なサービスを提供するための重要な役割を担っています。
公益財団法人 岡山県看護協会
療養通所介護事業
https://www.nurse.okayama.okayama.jp/publics/index/267/
療養通所介護のサービス内容
提供されるケア
療養通所介護では、利用者の状態に合わせて、様々なケアが提供されます。
具体的には、身体介護(食事介助、排泄介助、入浴介助など)、生活支援(掃除、洗濯、買い物など)、リハビリテーション(機能訓練、運動療法など)、医療的ケア(血糖値測定、血圧測定、褥瘡ケアなど)、精神的なケアなどがあります。
食事と栄養管理
療養通所介護では、栄養士が監修するバランスの取れた食事が提供されます。
利用者の健康状態や食事制限などを考慮し、個別に適切な食事内容が提供されます。また、食事介助が必要な方に対しては、丁寧な介助が行われます。
個別のリクリエーション活動
療養通所介護では、利用者一人ひとりに合わせたリクリエーション活動が行われます。
レクリエーション活動を通して、利用者の心身のリフレッシュを図り、社会参加の機会を提供します。また、仲間との交流やコミュニケーションを促進することで、生活の質を高める効果も期待できます。
公益財団法人 長寿科学振興財団
療養型通所介護
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-service/ryoyotsushokaigo.html
療養通所介護の対象者
利用できる方の条件
療養通所介護を利用できるのは、要介護認定を受け、医療的ケアが必要な方です。要介護認定は、市区町村の介護保険担当窓口で申請することができます。認定の結果、要介護1~5のいずれかの認定を受け、医療的なケアが必要と判断された場合に、療養通所介護を利用することができます。
例えば、 要介護認定者 (脳血管疾患、末期がん、神経難病など常時看護師による観察が必要な方)となります。
具体的な疾患例
療養通所介護の対象となる具体的な疾患例としては、認知症、脳血管疾患、脊髄損傷、筋ジストロフィー、ALS、パーキンソン病、糖尿病、腎臓病、呼吸器疾患などがあります。
これらの疾患を持つ方は、日常生活において医療的なケアが必要となる場合が多く、療養通所介護の利用が有効となります。
適正利用のためのガイドライン
療養通所介護の適正な利用を促進するため、厚生労働省からガイドラインが示されています。
ガイドラインでは、療養通所介護の利用目的、利用基準、サービス内容などが明確に示されており、利用者や家族、事業者などが適切に理解し、利用できるようにするための指針となっています。
療養通所介護の利用料
費用の内訳
療養通所介護の利用料は、利用者の要介護度、サービス内容、利用時間などによって異なります。基本的には、介護保険制度による給付と利用者の自己負担で構成されます。介護保険給付は、利用者の要介護度に応じて、1日につき一定額が支給されます。自己負担額は、介護保険給付額から差し引いた金額となります。
参考事例
サービス設定 1回につき
3時間以上6時間未満の場合 1,012円
6時間以上8時間未満の場合 1,519円
介護保険による補助
介護保険により、療養通所介護の費用の一部が補助されます。そのため、利用者は、全額を自己負担する必要はなく、介護保険給付額に応じて負担が軽減されます。介護保険給付額は、利用者の要介護度によって異なります。要介護度が高いほど、給付額は高くなります。
私費負担のケース
介護保険の適用外の場合でも、一定の条件で療養通所介護を利用することができます。例えば、要介護認定を受けていない方や、介護保険の適用を受けられない外国籍の方などが該当します。この場合は、全額を自己負担することになります。ただし、医療費控除の対象となる場合があります。
療養通所介護サービスを提供する人員基準
必要な資格
療養通所介護を提供するためには、特定の資格が必要です。具体的には、介護福祉士、社会福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの資格を持つスタッフが、利用者のケアにあたります。これらの資格者は、専門的な知識や技術を有しており、利用者に対して安全で質の高いサービスを提供することができます。
必要なスタッフの人数
療養通所介護サービスを提供するためには、一定の人員基準が設けられています。利用者の状態やサービス内容に応じて、必要なスタッフの人数は異なりますが、一般的には、介護職員、看護職員、リハビリ職員などが配置されます。適切な人員配置によって、利用者一人ひとりのニーズに対応した質の高いサービス提供が可能となります。
例えば、このようは基準があります。
療養通所介護の人員基準では、利用者の数が1.5名に対し、介護・看護職員を1名以上、うち1人以上は常勤の看護師に従事する者。療養型ではない通所介護と比較すると手厚いケアが受けられる環境があります。
研修と継続教育
スタッフの質を保つためには、定期的な研修と継続教育が必須です。療養通所介護の事業者は、スタッフに対して、介護技術、医療知識、倫理、コミュニケーション能力などの研修を実施する必要があります。また、最新の知識や技術を習得するため、継続的な教育も必要となります。
求人情報
まとめ
療養通所介護の重要性
療養通所介護は、高齢者や障がい者が安心して生活するために欠かせないサービスです。自宅での生活を維持しながら、必要な医療的ケアや介護サービスを受けることができるため、利用者の生活の質向上に大きく貢献しています。また、家族の負担軽減にもつながり、地域社会全体で高齢者や障がい者の生活を支える重要な役割を担っています。
今後の動向
近年、高齢化社会の進展に伴い、療養通所介護の利用者は増加傾向にあります。そのため、今後の法改正や制度の変更について注目する必要があります。例えば、サービス内容の充実、利用料金の改定、人員基準の強化などが検討されています。
サービス利用のポイント
療養通所介護を利用する際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
1.利用目的を明確にする
療養通所介護を利用する目的を明確にすることで、自分に合ったサービスを選ぶことができます。例えば、医療的なケアが必要な場合は、医療的なケアに力を入れている事業所を選ぶことが重要です。
2.事業所の情報収集
複数の事業所の情報収集を行い、サービス内容、利用料金、アクセス、スタッフの質などを比較検討することが重要です。
3.事業所見学
実際に事業所を見学することで、施設の雰囲気やスタッフの対応などを確認することができます。見学を通して、自分に合った事業所かどうか判断することができます。
4.利用者の意見を反映
療養通所介護の利用者は、サービス内容や運営について意見を反映させることができます。事業所に対して、積極的に意見を伝えることで、より良いサービスの提供につながります。
5.家族との連携
家族と連携することで、利用者の状態やニーズを共有し、より適切なサービスの提供を受けることができます。また、家族の負担軽減にもつながります。
療養通所介護は、高齢者や障がい者が安心して生活するために重要なサービスです。利用を検討している方は、上記ポイントを参考に、自分に合った事業所を選び、利用しましょう。
岡山市の介護施設 管理者兼介護職員
現役介護職として現場と管理者を担当
MBA(経営学修士)
PUROPOSE:本気の大人をつなげる
MISSION:居場所と生きがいを作る
VISION:お世話の輪の有る社会を創生
VALUE:医療介護従事者と患者様/ご利用者様の真の幸福を追求する
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