介護職はやりがいのある仕事ですが、時には辞めたいと感じることもあるでしょう。
本記事では、介護職を辞めたくなる理由やその対処法について詳しく解説します。
この記事を読むことで辞めるべきタイミングなのか、まだ続けるタイミングなのかが分かります。
あなたの人生設計が豊かになるようにお手伝いしたいと存じます。
介護職を辞めたい理由
給料が満足できない
介護職の給料が低く、生活が厳しいと感じることがあるでしょう。多くの人が抱える悩みの一つであり、転職を検討する大きな理由となります。介護職は、人々の生活を支える重要な仕事ですが、その対価として十分な報酬が得られない現状は、多くの介護職従事者を悩ませています。
しかし、介護職の給料が低いからといって、安易に転職を決断してしまうのは危険です。
なぜなら、介護職以外の仕事でも、必ずしも高収入が約束されているわけではないからです。
異業種への転職によって、収入が減ってしまう可能性も考慮する必要があります。
介護職の給料に関する悩みを解決する方法は、今は簡単になりました。
比較できる転職サイトが充実しているからです。
同じ地域、同じ業種で比較してみましょう。あなたが平均以上なのか以下なのか見て分かるようになっています。
公益財団法人 介護労働安定センター
① 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_jigyousya_honpen.pdf
職場の人間関係に悩む
職場の人間関係は、仕事をする上で非常に重要な要素です。良好な人間関係が築ければ、仕事も楽しくなり、モチベーションも向上します。しかし、職場の人間関係がうまくいかないと、ストレスが溜まり、仕事への意欲が低下してしまうこともあります。
介護職は、利用者の方々だけでなく、同僚や上司、家族など、様々な人と関わる仕事です。そのため、職場の人間関係が良好であることは、仕事のパフォーマンスを維持するために不可欠です。
では、良い人間関係はどのように作れば良いのでしょうか?
職場の人間関係で悩んでいる場合、まず、自分の気持ちを理解することが大切です。
なぜ、その人間関係に悩んでいるのか、具体的に書き出してみましょう。
例えば、「上司の指示が理解できない」「同僚との意見が合わない」「利用者の方とのコミュニケーションがうまくいかない」など、具体的な状況を書き出すことで、自分の悩みを客観的に見ることができます。
次に、問題解決に向けて、具体的な行動を起こしてみましょう。例えば、上司や同僚に直接相談してみる、仲の良い同僚に相談してみる、信頼できる人に話を聞いてもらうなど、様々な方法を試してみましょう。相談する相手によって、話しやすい内容や伝え方が異なるため、相手をよく選んで相談することが大切です。
職場の人間関係を改善するためには、2つのコツが有ります。
① 自分の行動を変える
② 相手の行動を変えない
まず最初に、自分自身も行動を変える必要があります。
最初から「 相手の行動を変えようとしない 」ほうが上手くいきます。
最初に、「相手の立場から見たら、その行動は正しいのだ」と捉え直し、質問形式でコミュニケーションをとるように心がけましょう。
次に、「 自分の立場から見たら、こうすると良い仕事ができるがどう思うか? 」と、また質問するようなコミュニケーションをしましょう。
これがコツです。
相手の行動を変えるのは、あなたではありません。
相手が自ら気づいた時に、ようやく変わり始めるのです。
身体的負担が大きい
基底面積は取っていますか?
介護職は、利用者の方々の身体介助を行うため、身体的な負担が大きい仕事です。重いものを持ち上げたり、長時間立ち続けたり、屈んだりする動作を繰り返すため、腰痛や肩こり、膝痛などの身体的なトラブルを抱える人が少なくありません。
身体的な負担を軽減するためには、正しい姿勢や動作を意識することが大切です。
重いものを持ち上げる際は、腰を曲げずに、膝を曲げて持ち上げるようにしましょう。また、長時間立ち続ける場合は、こまめな休憩を挟むようにしましょう。
柊 幸伸 理学療法科学 23(2):229–234,2008
支持基底面積と重心移動域の実測とその比較
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/23/2/23_2_229/_pdf
さらに、職場環境の改善も重要です。例えば、重いものを持ち上げる際に使用するリフトや、身体を支えるための補助具などを導入することで、身体的な負担を軽減することができます。
身体的な負担は、介護職にとって大きな問題です。しかし、適切な対策を講じることで、身体的な負担を軽減し、健康を維持することができます。自分の身体を守るためにも、積極的に対策を講じていきましょう。
独立行政法人 福祉医療機構WAMNET
介護技術の基本
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/sppub/top/column/kaigogijyutu/kaigogijyutu001.html
精神的なストレスが溜まる
職場の不満を、職場意外の信頼できる人に話せていますか?
介護職は、利用者の方々の様々な状況に対応する必要があるため、精神的なストレスを抱えやすい仕事です。利用者の方々の病気や介護の状況、家族との関係など、様々な問題に直面し、精神的に疲弊してしまうこともあります。また、利用者の方々の死と向き合うことも多く、精神的な負担が大きいと言えるでしょう。
精神的なストレスを軽減するためには、まず、自分の気持ちを「言葉で」理解することが大切です。
そのためには、職場で不満に感じている事を、言葉に変えるのがストレス低減のコツです。
同じ職場だとただの愚痴になってしまう為、職場以外で「 信頼できる 」友人・知人・心療内科の先生などに伝え、言葉に変えてもらいましょう。
なぜ、ストレスを感じているのか、具体的に書き出すという方法も試してみましょう。
例えば、「利用者の方の容態が悪化して、不安を感じている」「家族との関係がうまくいかず、ストレスを感じている」「仕事量の多さに疲れて、精神的に参っている」など、具体的な状況を書き出すことで、自分のストレスの原因を客観的に見ることができます。
言葉にできたら、ストレスを解消するための具体的な方法を検討しましょう。
例えば、ストレスを溜めずに解消できる趣味を見つける、友人や家族に相談する、リラックスできる音楽を聴く、散歩をするなど、自分に合ったストレス解消方法を見つけることが大切です。
また、職場環境改善も有効です。ICT機器などがあなたの不満を解決する手法となりえる事が分かっています。補助金も充実しつつありますので、上司に申請・提案してみましょう。
前向きな提案を、上司は喜びます。
建築学専攻 三浦研究室 陳 淑君
先端機器を用いた介護職員の負担軽減とストレスの把握に関する研究
https://www.miuraken.archi.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/2020.3-chin-1.pdf
施設の経営方針に不満がある
経営方針と現場判断が合っていますか? 方針がお飾りになっていませんか?
施設の経営方針にも影響を受ける仕事です。施設の経営方針が、利用者の方々の利益よりも、利益追求を優先していると感じたり、従業員の待遇が良くないと感じたりした場合、不満を感じてしまうことがあります。
施設の経営方針に不満がある場合は、そのギャップをどの場面で感じるか、同僚と話してみましょう。
ただの愚痴にならないように前向きに提案を1つ生み出す話し方がコツです。
次に、施設側の意見を聞いてみましょう。
施設側が、なぜそのような経営方針をとっているのか、その理由を理解することで、自分の不満が解消されることもあります。また、施設側と意見交換することで、新たな解決策が見つかる可能性もあります。
介護職を続けるべきか考える
やりがいを感じているか確認
どの場面で、あなたは笑っていますか?
介護職は、人々の生活を支えるやりがいのある仕事です。しかし、仕事をしていく中で、そのやりがいを感じられなくなってしまうこともあります。
介護職のやりがいは、人それぞれです。例えば、利用者の方々の笑顔を見ることがやりがい、利用者の方々の生活を支えることがやりがい、自分の仕事が社会に貢献していると感じることがやりがいなど、様々なやりがいがあります。
自分が介護職の仕事にどのようなやりがいを感じているのか、具体的に理解する方法は簡単です。
あなたが笑っている場面を思い返すだけで良いのです。
例えば、「利用者の方から感謝の言葉をかけられた時」「利用者の方の笑顔を見ることができた時」「利用者の方の生活が改善された時」など、具体的なエピソードを思い出すことで、自分が介護職の仕事にどのようなやりがいを感じているのか、改めて実感することができます。
もし、介護職の仕事にやりがいを感じられなくなっている場合は、その原因を探ってみましょう。例えば、「仕事内容が自分に合っていない」「職場環境が良くない」「人間関係がうまくいっていない」など、様々な原因が考えられます。
原因を特定することで、問題解決に向けて具体的な行動を起こすことができます。
キャリアビジョンを考える
3年後は今の職場にいますか?
介護職を続けるかどうか迷っている場合は、将来のキャリアビジョンを考えることも重要です。介護職は、幅広いキャリアパスを持つ仕事です。資格取得やスキルアップによって、より専門性の高い仕事に就くこともできますし、管理職を目指すこともできます。また、介護職の経験を活かして、他の業界に転職することも可能です。
将来のキャリアビジョンを考える際には、自分の興味や能力、価値観などを考慮することが大切です。例えば、「専門知識を深めて、ケアマネジャーになりたい」「管理職として、チームをまとめたい」「介護の経験を活かして、福祉関連の仕事に転職したい」など、具体的な目標を設定することで、モチベーションを維持することができます。
キャリアビジョンを実現するためには、具体的な行動計画を立てることが重要です。
この計画を立てるきっかけを作る為に、無料や低額で実施されている社外の講座・研修に参加してみましょう。同じような方々の成功事例や失敗事例を聞くことがあなたを動かすエネルギー源になるでしょう。
例えば、「資格取得のための勉強を始める」「スキルアップのための有料研修に参加する」「転職活動の準備をする」など、具体的な行動計画を立てる意欲が高まり、目標達成に近づきます。
介護職は、やりがいのある仕事ですが、同時に、大変な仕事でもあります。将来のキャリアビジョンを明確にすることで、仕事に対するモチベーションを維持し、長く働き続けることができるでしょう。
客観的な視点で判断
介護職を続けるかどうか迷っている場合は、自分の現状を客観的に評価することが大切です。自分の感情や思い込みに左右されずに、冷静に判断することが重要です。
客観的な視点で判断するためには、以下の点を考えてみましょう。
ここでもコツは、誰かに話しながら言葉に置き換えていくことです。
- 自分の強みと弱みは何か?
- 介護職の仕事にどのようなやりがいを感じているのか?
- 介護職の仕事にどのようなストレスを感じているのか?
- 介護職以外の仕事に興味はあるのか?
- 介護職以外の仕事に転職した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのか?
これらの点を客観的に評価することで、自分の現状をより深く理解することができます。そして、介護職を続けるかどうか、より明確な判断を下すことができるでしょう。
客観的な視点で判断するためには、信頼できる人に相談することも有効です。家族や友人、上司、キャリアカウンセラーなど、様々な人に相談することで、自分の現状を客観的に見ることができます。相談することで、新たな視点を得ることができ、より良い判断を下せる可能性があります。
辞めるかどうかの判断基準
介護職を辞めるかどうかは、人それぞれ判断基準が異なります。しかし、以下の点を参考に、自分にとって最適な判断を下せるようにしましょう。
ここで意外に役立つのは、保険会社が行っている無料のライフプランサービスです。
専門のライフプランナーがあなたの経済状況とキャリアプランに非常に有効なライフプランを教えてくれます。今すぐ保険会社の担当者に連絡を入れてみましょう。
- 自分の心身の健康状態
- 経済的な状況
- キャリアプラン
- 家族や周りの人の意見
心身の健康状態が優れない場合は、無理せず転職を検討することも大切です。経済的な状況が厳しい場合は、転職によって収入が減ってしまう可能性も考慮する必要があります。キャリアプランを明確に持ち、将来の目標に向かって進んでいきたい場合は、転職によって新たなスキルや経験を積むことも有効です。家族や周りの人の意見も参考にしながら、自分にとって最適な判断を下しましょう。
介護職を辞めることは、決して悪いことではありません。むしろ、自分の心身の健康を維持するため、より良いキャリアを築くために、転職を決断することも重要です。大切なのは、自分の状況をしっかりと理解し、自分にとって最適な選択をすることです。
意外と高くない介護の離職率
実は第5位です。
医療・福祉に分類された介護職は、以前は高い離職率でしたが厚生労働省の処遇改善によって手当の増額や働きやすい職場づくりの補助金などで、職場環境が整いつつある業界となっています。
第1位~第5位は、①宿泊・飲食・②生活関連・娯楽・③サービス全般・④教育・学習支援と続いてから⑤医療・福祉となっています。
離職率の順位 | 業界 | 離職率 |
1 | 宿泊業・飲食サービス業 | 25.6% |
2 | 生活関連サービス業・娯楽業 | 22.3% |
3 | サービス業(他に分類されないもの) | 18.7% |
4 | 教育・学習支援業 | 15.4% |
5 | 医療・福祉 | 13.5% |
つまり、あなたに合う職場と合わない職場は有りますが、介護業界そのものは比較すれば働きやすい職場に育っているという事です。
辞めた後に変えるのは業界でしょうか? それとも職場でしょうか? 比較して考えてみましょう!
厚生労働省
令和3年雇用動向調査結果の概要
介護労働実態調査
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf
次のステップを考える
転職活動を始める
介護職を辞めて、転職活動をする場合は、まず、自分のキャリアプランを明確にすることが大切です。どのような仕事に就きたいのか、どのようなスキルや経験を活かしたいのか、具体的な目標を設定しましょう。
転職活動は、情報収集から始まります。コツは3つ以上の施設を比較する事です
転職サイトや求人情報誌、ハローワークなどを活用して、自分に合った求人情報を集めましょう。また、転職エージェントに相談することも有効です。転職エージェントは、求人情報の紹介だけでなく、履歴書の添削や面接対策など、転職活動の様々なサポートをしてくれます。
転職活動は、時間と労力を要する作業です。焦らず、自分のペースで、しっかりと準備を進めましょう。
職場環境を変える
介護職を辞めずに、職場環境を変えることも有効な手段です。現在の職場に不満がある場合は、転職ではなく、人事異動の希望を出して、職場変更を検討してみましょう。職場変更によって、より働きやすい環境で仕事をすることができるかもしれません。
職場変更には、以下のメリットがあります。
- 現在の職場での経験や人脈を活かせる
- 新しい環境で新たなスキルや経験を積むことができる
- 職場の人間関係を改善できる可能性がある
職場変更を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- 職場環境が本当に改善されるのか?
- 自分のスキルや経験が活かせる職場なのか?
- 職場の人間関係が良好なのか?
職場変更は、転職よりもリスクが低いと言えます。しかし、職場環境が改善されない場合、転職よりも大きなストレスになる可能性もあります。そのため、職場変更を検討する際は、慎重に判断することが大切です。
介護職を辞めた後のキャリア
経験を活かして新たな職場へ
介護施設は想像以上に種類があります。
老人ホームだけでも8種類。介護保険サービスでは20弱もの種類があります。
つまり、あなたが活躍できる働きやすい職場は他にもあるのかも知れないのです。
介護職の経験は、様々な場面で活かすことができます。例えば、コミュニケーション能力、問題解決能力、体力、忍耐力など、介護職で培ったスキルは、他の仕事にも役立ちます。介護職の経験を活かして、新たな職場に転職することも可能です。
介護職の経験を活かせる仕事には、以下のものがあります。
- 福祉関連の仕事
- 医療関連の仕事
- 教育関連の仕事
- サービス業
- 事務職
意外な転職先
2万人を対象とした調査によると、退職したい・転職したいと回答したのは44%。
そのうち、転職先としては介護関係が約8%、福祉医療が約6%、それ以外が約10%となっています。
最も多い回答は、約40%の方で「分からない」と回答しています。
多くの方々が、決めかねている事が見て取れます。不満は明確にありつつも、適した職場の条件として決定的な理由が見つけ切れていないようです。
そして意外な数値であったのが、「 今の法人内で人事異動を希望 」という方の約10%。
ここを考えると、介護施設の中でも職種は多くあるので、介護から厨房への人事異動や、事務処理や送迎、訪問介護からデイサービスへの人事異動というルートも見過ごせない良い方法かも知れません。
公益財団法人 介護労働安定センター
② 労働者調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_roudousya_honpen.pdf
職場見学や体験から始める
お局様がいるかも知れません。
新しい職場では、新しい人間関係を築く必要があります。
そこに今以上に苦手なタイプが居ると困りますよね。
今は職場見学や体験ができる職場が多くなりました。
まず、近所の施設から3件選んで、見学を申し込むのがコツです。
求人情報
まとめ:介護職を続けるか辞めるかの判断
介護職を辞めるか続けるかの判断は、決して簡単なものではありません。しかし、この記事で紹介したポイントを参考に、自分の状況をしっかりと理解し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
介護職は、人々の生活を支えるやりがいのある仕事です。しかし、同時に、大変な仕事でもあります。心身の健康を維持しながら、長く働き続けられるように、自分の状況に合わせて、適切な判断を下しましょう。
岡山市の介護施設 管理者兼介護職員
現役介護職として現場と管理者を担当
MBA(経営学修士)
PUROPOSE:本気の大人をつなげる
MISSION:居場所と生きがいを作る
VISION:お世話の輪の有る社会を創生
VALUE:医療介護従事者と患者様/ご利用者様の真の幸福を追求する
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