「地域包括支援センター」という名前は、聞いたことはあるけれど何をする施設なの?
こんな疑問をお持ちになっている方も多くいるのではないでしょうか。
今回は、地域包括支援センターの役割とお得な活用法について、現役介護士ご紹介します。
地域包括ケアシステムとは
地域包括支援センターのお話しをする前に、地域包括ケアシステムについてご説明します。
日本は、高齢化の進行が諸外国に例を見ないスピードで進んでいます。
65歳以上の人口は現在3500万人を超え、ピークは2042年の約3900万人を迎えますが、75歳以上の人口割合はその後も増加し続けることが予想されています。
これを受け国は、2025年を目途に「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
地域包括ケアシステムとは、高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを生涯続けることができるよう、
住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムの事を指します。
そして、この地域包括ケアシステムの窓口が地域包括支援センターなのです。
「地域包括支援センター」は、地域包括ケアシステムを支えるための拠点として、全国に点在しています。
(令和2年4月時点:5221施設)
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者の暮らしをサポートするための「総合相談窓口」です。
専門知識を持った職員が、介護・介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援など
高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう相談に応じており、また介護保険の申請窓口も担っています。
地域包括支援センターの活用方法
利用対象者
対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者の方、または高齢者支援の活動に関わっている方が利用できます。
高齢者支援の活動に関わっている方とは、高齢者のご家族など、介護や支援を担っている方です。
次の場合は、ご家族などが代理で地域包括支援センターを利用できます。
※高齢者本人の判断力が低下している場合
注意事項として、支援や介護が必要な方と相談したい方が離れて暮らしている場合です。
この場合は、支援対象者となる方が住んでいる場所の地域包括支援センターに連絡しなければなりません。
担っている業務
地域包括支援センターは高齢者の方々を支えるために、次の4つの業務を行っています。
①総合的な相談支援業務
②権利擁護の支援業務
③介護予防ケアマネジメント業務
④ケアマネジメント支援業務
順番にお伝えして参りますね。
①総合相談
高齢者の各種相談をいろいろな制度を総合的に活用しながら、適切なサービスの紹介や支援を行う役割を担っています。
総合相談窓口の存在意義は非常に大きく、特に「初めて介護に直面した家族」の相談役として最適と言えます。
個人での解決が困難な問題も、各種専門家が解決策を考案してくれます。
相談費用は無料となります。
ただし、紹介されたサービスを利用するときは費用がかかることがあります。
②権利擁護
介護に直接関わる内容以外に、高齢者が安心して生活できるように権利擁護の実現にも大きな役割を果たしています。
具体的な活動は以下のようなものがあります。
高齢者に対する詐欺や悪徳商法などの消費者被害への対応
高齢者虐待の早期発見と防止
成年後見制度の手続き支援や促進
成年後見制度とは、高齢者の財産を不当な契約や犯罪から守るために見守る人(成年後見人)をつける制度です。
③介護予防ケアマネジメント
要支援1・2と認定された高齢者の方や要支援や要介護になるおそれの高い65歳以上の方を対象に、
身体状況の悪化防止や自立した生活が継続できるように介護予防を目的とした支援を行っています。
要支援1・2を受けた高齢者に対する「介護予防ケアプランの作成」や要支援や要介護になるおそれの高い65歳以上の方、
いわゆる「二次予防事業対象者」に対して希望者に向けて介護予防教室を実施しています。
④ケアマネジメント
高齢者の方が安心して生活するためには、ケアマネジャーの働きが欠かせません。
そのため、地域包括支援センターでは地域のケアマネジャーのサポートも重要な役割として行っています。
具体的な支援は以下のようなものがあります。
ケアマネジャーを対象とした研修会
ケアマネジャー同士のネットワーク確立支援
ケアマネジャーが困難な事例に直面した場合のアドバイス
地域ケア会議の開催を通じて自立支援型ケアマネジメントの支援
このような支援を行うために、地域包括支援センターにはさまざまな専門分野のサポーターが在籍しています。
地域包括支援センターを構成する専門家
地域包括支援センターには、主任ケアマネジャー・保健師・社会福祉士の3職種の専門家が配置され、
それぞれの専門性を活かし連携しながら業務を分担しています。
主任ケアマネジャー
主な担当:ケアマネジメント
業務内容:地域ケア会議の開催、ケアマネジャーの相談・助言、支援困難事例等への指導・助言など
保健師
主な担当:介護予防ケアマネジメント
業務内容:介護予防プランの作成や予防対策の教室、セミナーの開催指示など
社会福祉士
主な担当:総合相談、権利擁護事業
業務内容:高齢者への虐待の防止や早期発見、成年後見人など権利擁護
地域包括支援センターはどこにある?
地域包括支援センターの設置主体は各市町村ですが、
一部自治体から委託され社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営している場合もあり、
人口2~3万人の日常生活圏域(公立中学校の学区と同程度)を1つの地域包括支援センターが担当しています。
岡山市の地域包括支援センターは、市内16カ所の窓口で地域の高齢者に関する様々な相談を受け付けています。
岡山市では、(公財)岡山市ふれあい公社に、地域包括支援センターの設置・運営を委託しています。
【一覧】地域包括支援センター | |||
本センター・分室 | 所在地 | 電話・FAX番号 | 担当中学校区 |
岡山市北区中央地域包括支援センター | 岡山市北区鹿田町一丁目1番1号 (岡山市保健福祉会館内) | 電話 224-8755 FAX 224-8763 | 岡輝・石井・桑田・岡山中央の一部 |
北区中央地域包括支援センター平田分室 | 岡山市北区平田407 (ひらた旭川荘内) | 電話 239-9211 FAX 239-9212 | 御南・吉備 |
北区中央地域包括支援センター北方分室 | 岡山市北区大和町二丁目4-30 スペイン通り1階北A | 電話 201-7201 FAX 201-7202 | 岡北・岡山中央の一部 |
岡山市北区北地域包括支援センター | 岡山市北区谷万成二丁目6番33号 (北ふれあいセンター内) | 電話 251-6523 FAX 251-6524 | 中山・香和・京山 |
北区北地域包括支援センター高松分室 | 岡山市北区門前392-1 | 電話 287-9393 FAX 287-7101 | 高松・足守 |
北区北地域包括支援センター御津分室 | 岡山市北区御津金川449 (岡山市御津保健福祉ステーション内) | 電話 724-4611 FAX 724-4615 | 御津 |
北区北地域包括支援センター建部分室 | 岡山市北区建部町福渡489 (岡山市北区建部支所内) | 電話 722-3300 FAX 722-3300 | 建部 |
岡山市中区地域包括支援センター | 岡山市中区桑野715番地2 (岡山ふれあいセンター内) | 電話 274-5172 FAX 274-5173 | 富山・操南 |
岡山市中区地域包括支援センター中区分室 | 岡山市中区赤坂本町11-47 (中区福祉事務所内) | 電話 206-2871 FAX 206-2872 | 東山・操山 |
中区地域包括支援センター高島分室 | 岡山市中区国府市場32-12 | 電話 275-3205 FAX 275-3203 | 高島・竜操 |
岡山市東区地域包括支援センター | 岡山市東区西大寺中二丁目16番33号 (西大寺ふれあいセンター内) | 電話 944-1866 FAX 944-1803 | 西大寺・上道・上南・山南・旭東 |
東区地域包括支援センター瀬戸分室 | 岡山市東区瀬戸町瀬戸45 (岡山市東区瀬戸支所内) | 電話 952-3883 FAX 952-3821 | 瀬戸 |
岡山市南区西地域包括支援センター | 岡山市南区妹尾880番地1 (西ふれあいセンター内) | 電話 281-9681 FAX 281-9682 | 妹尾・福田・興除 |
南区西地域包括支援センター灘崎分室 | 岡山市南区片岡159-1 (岡山市ウェルポートなださき内) | 電話 363-5070 FAX 363-5071 | 藤田・灘崎 |
岡山市南区南地域包括支援センター | 岡山市南区福田690番地1 (南ふれあいセンター内) | 電話 261-7301 FAX 261-7303 | 芳泉・芳田・福浜 |
南区南地域包括支援センター市場分室 | 岡山市南区市場1-1 (岡山市中央卸売市場内) | 電話 239-9151 FAX 239-9152 | 福南・光南台 |
まとめ
地域包括支援センターの役割と活用法について、概要をご説明いたしました。
地域包括支援センターの業務内容や、介護を考え始めた際の上手な使い方を知っていれば、
より早い段階で介護予防に着手でき、もっとも適した介護サービスを受けるための選択肢を増やす事ができます。
また、介護を始めた場合でも自分がやるべき道筋が見えることにより、慌てることなく対応ができ、心の負担も軽くなるのではないでしょうか。
何事にも事前準備は重要です。
岡山市の介護施設 管理者兼介護職員
現役介護職として現場と管理者を担当
MBA(経営学修士)
PUROPOSE:本気の大人をつなげる
MISSION:居場所と生きがいを作る
VISION:お世話の輪の有る社会を創生
VALUE:医療介護従事者と患者様/ご利用者様の真の幸福を追求する
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